ひぐらしカメラ 2

カナダのビクトリアに居住。写真、音楽、釣り、映画。

Foggy day

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Olympus OM-D E-M10 II + Kern Switar AR 25m f1.5

 

朝6時、ボーッという霧を知らせる船舶の汽笛が遠くから聞こえ目を覚ましました。部屋の窓から海を眺めると白い霧が立ち込めてます。そんなに深い霧ではないので陽が上ると晴れてしまうと思い、慌てて霧&曇り専用レンズであるKern Switar 25mmをOM-Dに付けて急いで外へ。私にとって霧の日は、待ちに待ったお気に入りの撮影日。

 

アパートメント前の道路を横切り、海岸へ下る小道へ。いつもの遊歩道を出て、左右どちらへ向かおうか、一瞬迷いますが、定点的に撮っているスポットが多い右手へ向かいます。霧は思ったよりも深くなくて、前方50メートルほどは視界が効きます。海は波がほとんどなく鏡面状態。カモメが数匹、頭上を飛び交っています。時折、遊歩道を走るジョガーのシルエットが霧の中から浮かび上がり、ゆっくりとすれ違います。モニン、モニン、と小声で同じ言葉を交換。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Kern Switar AR 25m f1.5

 

ゆっくりと歩き、時々立ち止まってはファインダーを覗きます。覗いても半分ほどはシャッターを切りません。霧が上手にイメージをオブラードに包む場所を探します。狙う被写体と霧の背景の距離感、構図、テーマの意味合い、など頭の中は静寂な景色とは対照的に目まぐるしく思考が交錯中。そんな脳内の信号とレンズを通して見た景色が交差する瞬間にシャッターを切ります。

 

この海岸沿いの遊歩道は1年を通じて、毎日のように歩く場所。私が海を背景にする形で雑草や木々を撮ることが多いのは、いつもこの散歩道を歩くためです。もちろん、お気に入りの撮影場所ではありますが、海を見ながら歩くという行為そのものが習慣になってしまい、それをなんらかの理由でスキップしてしまうと歯磨きを忘れてしまったような居心地の悪さを感じてしまうのです。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Kern Switar AR 25m f1.5

 

Kern Switar 25mm 1.5はコントラストも彩度も低いのですが、そのソフトな階調が霧や曇りの日に独特の空気感を作ってくれます。このレンズで撮った作品でダイレクトな光が差し込んでいるものはほとんどないはず。強い光が苦手なレンズなのです。絞り開放で使うため、晴れの日だとシャッタースピードが足りずシャッターが切れないということもあります。新しく手に入れたOM-Dは電子シャッターを使うことでこの問題は解決するみたいですけど。ちなみにこの古いレンズにはNDフィルターは装着できません。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Kern Switar AR 25m f1.5

 

今回、現像に関しては元画像に近いところで行ってます。強くコントラストをつけたり色の彩度を上げたりするとレンズが待つ描写バランスが崩れるので注意が必要ですね。色味の調整、それと多少落ちて暗くなってる部分をおこしてあげるくらいでしょうか。

 

 

Today’s Music 12 | Julian Lage

ジュリアン•レイジは一応ジャズギタリストとなってますが、この人はジャズというジャンルを遥かに超えています。ジャズの発生より以前のアメリカンルーツ音楽に強い興味を示し、ブルーグラスの革命集団であるパンチ•ブラザーズと共演したりしてますし。ジュリアン•レイジの音楽的なアプローチは本当に独創的なので、一般に人にはちょっと取っつきにくいかも知れません。この人、分かり易い音楽、心地よい音楽を目指していないのです。独特の立ち位置で、まさに唯我独尊。ただアルバムを聞き込んで行くと、その癖のある魅力にどんどん引き込まれしまいます。この曲はジャズのスタンダードですが、クラシック的なアプローチがとても斬新です。

 

 

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