ひぐらしカメラ 2

カナダのビクトリアに居住。写真、音楽、釣り、映画。

Flowers #2

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95

 

自宅で花を撮影する場合、背景の色を変えて撮るようにしています。同じ花でも印象がガラっと変わってくるからです。大きく黒などのダーク系、白などのブライト系、それと中間色の3方向でしょうか。それぞれの花に対してすべて背景を変えるわけではないのですけど、時間がある限り、試してみることにしています。

 

それぞれ、特徴があるので簡単に描いてみます。まずダーク系ですが、花の存在が圧倒的に引き立ち、ドラマチックに見えます。ただ印象としては暗くなり、音楽でいうとマイナーキーの曲の印象。次にブライト系ですが、これも花の存在は黒と真逆の意味で、強く引き立ちます。印象は明るく、メジャーキーの曲。そして中間色ですが、これは花の色味とトーンが重なってくるため選択が難しいのですけど、うまくマッチすると花と背景が一体となってハーモニーを醸し出してくれます。音楽的な印象は全体的にはメジャーの曲調ですが、サビの部分でマイナーな雰囲気があり、という感じかな。このパターンは花の色味のひとつを背景に置くと比較的マッチさせやすいです。

 

それぞれ特徴があり単純に好みの問題なのですけど、花が持つキャラクターに合わせてあげるのがベストなのだと思います。例えば強い色味の花はダーク系の背景にもしっかりと対応できますけど、淡い儚い雰囲気の花には強すぎます。最初に花の色味、形を観察してから大まかな背景色の方向を決めるのが良いと思います。花を観察してると、なんとなくその方向が見えてくると思います。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95

 

現像のことに少し触れます。背景色を決め撮影し現像すれば基本的に終了ですけど、私の場合、実は現像の段階で細かなライティングを行っています。撮影が終わっているのに、どうしてライティングなのか?と思うでしょうが、実際、そうなのです。昔、アートディレクターとして頻繁に商品の撮影に立ち会っていました。車から宝石、食料品まで幅広く扱っていましたが、フィルム時代なので撮った後には変更が出来ません。それでライティングにはとても時間が掛かったのです。一方から光を当てれば、当然影が出来ますけど、影の濃度を調整する必要があったのです。そのプロセスをカメラマンが撮ったポラロイドで確認します。車の撮影ではライティングだけで3時間は掛かってました。

 

そのライティングの微調整をデジタル写真では、撮影後の現像の段階で出来るという訳なのです。ちょっとした背景の濃度の違い、影の強さ、部分的に当てるスポットライトなど、その作業は案外に多く複雑です。ひとつのボックスライトというシンプルな形で撮ってるため、当然、カバーできない細かな作業が発生します。逆に現像の段階でそれが出来るので、シンプルなワンライトで撮れるということです。ライティングの微調整が終わった後にも、色味、コントラスト、シャープネスの補正作業がありますので、現像作業の方が実際の撮影よりも時間が掛かってしまうケースが多いです。もちろん、どこまで追い込むのかという自分の目標設定にも寄りますけどね。

 

ライティングの話に戻りますけど、私は遥か昔に現場でカメラマンに教えて貰いましたが、一度、ライティングだけを勉強してみることをお勧めします。その手の書籍、もしくはネットで情報を拾えると思います。ライティングの理屈が分かると、それは野外の撮影でも応用できますし、何よりも光に関してより敏感になってきます。今まで見えていなかった微妙な光と陰が見えるようになります。これは写真をやる上でかなり大きいですよ。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95