ひぐらしカメラ 2

カナダのビクトリアに居住。写真、音楽、釣り、映画。

Shiruetto 2

f:id:matsu2012:20190913214400j:plain

Sony A7 II + Helios 44-2 58mm 2

 

前回、霧の日にヘリオス58mmで撮った残り分です。

 

私がこのようなスタイルの写真を撮るきっかけになったのは、ピクトリアリズムと言われる時代の写真を集めた展覧展を観たからです。すぐに精度の低いレンズが映し出す非現実的な夢のような世界に引き込まれました。コントラストのない狭い範囲の階調で表現する写真は、その名のとうり絵画に近いのです。モノトーンに水彩で微妙に彩色されたカラー作品も、日本の古い木版画に通じるものを感じました。

 

たまたまその時期にKern Switarのシネレンズで撮った写真が、その雰囲気に近いことに気が付いて、色調補正することでさらにその世界へ近づいていった訳です。そして撮影条件としては、ダイレクトな光よりも曇りや霧などの柔らかい光が廻ってる状況がベストだと分かりました。撮るテーマに関しても時代性を感じさせない普遍的なものがより想像力を駆り立てるようです。自分の場合、オープン•スペースでの樹々や植物、海、空などが多いでしょうか。

 

 

f:id:matsu2012:20190913214424j:plain

Sony A7 II + Helios 44-2 58mm 2

 

f:id:matsu2012:20190914000514j:plain

Sony A7 II + Helios 44-2 58mm 2

 

当時、私はマイクロフォーサーズでデジタル写真に足を突っ込んだので、パナソニックオリンパスの交換レンズを何本か持っていましたが、暫くしてから全て処分しました。手元に残ったのはKern Switar 25mmとノクトン25mmだけ。要するにメリハリがあってよく解像するレンズに興味を失ってしまったのです。ノクトン25mmに関してはモダンな写りをするのですが、使い方によってかなり幅広く使えるのでキープしてます。マクロで使えるのが大きいですし、普通に撮れるレンズも一本は持っていないとマズイかなと。

 

その後、ソニーのフルサイズ機であるa7IIを手に入れたのも、ほとんどの古いレンズをアダプター経由で使えることが分かったためです。古いレンズと言っても、その時代によりその写りは異なり、時代が近いものはモダンなレンズに引けを取らない写りをします。オールドレンズ=レトロな描写という訳ではないのですよね。愛用してるマクロニッコールなどはオールドレンズというか、今でも販売されてレンズですし、驚くほど良く写ります。ヘリオスやジュピターなどのロシアン•レンズは時代がまた下がるので、やはり違ってきます。レンズの選択が一気に広くなったのが嬉しいですね。

 

 

f:id:matsu2012:20190913214519j:plain

Sony A7 II + Helios 44-2 58mm 2

 

f:id:matsu2012:20190913214539j:plain

Sony A7 II + Helios 44-2 58mm 2

 

今は大きくピクトリアリズム風、比較的ノーマル風、室内での花の3本立てになってますが、機材に関しては適材適所にうまく機能してると思います。オールドレンズは価格が安いのでつい気楽にネットで買ってしまうのがやや問題かも知れません。レンズ沼にハマる人の気持ちが分かります。まあ、それでも自分の場合はズブズブとは行かず、適当なところで飽和するでしょう。今のところ自分はライカなどの高価なオールドレンズに投資するつもりはありません。先人のスタイルをコピーしている自分にはチープなロシアのコピーレンズがお似合いです、というわけでもないのですけど、道具として不満を感じないのです。たぶん写真スタイルがレンズ50%、補正50%ぐらいで100%レンズに依存しないこともあります。レンズをコレクションすることより、持ってるレンズを使ってクリエィティブ•ワークすることが重要だと思ってます。

 

 

 

 

Today’s Music 50 | Brad Mehldau Trio 

ブラッド•メルドーはロバート•グラスパーと並んで現代の先端ジャズをリードするピアニスト。ハービー•ハンコックやキース•ジャレットの後に続くピアニストが暫く途絶えた後に、やっと次世代のピアニストが出て来たという感じですね。この人はオーソドックスな歌ものなどはほとんどやらず、従来の演奏パターンを逸脱するアプローチを取ったりします。ちょっとジャズというよリもスピリチャル的な意識も感じます。ギターのジュリアン•レイジのピアノ版といった雰囲気かな。実際に二人でやってるアルバムがありますしね。多分、感性がすごく近いのでしょう。