Post Process
素材から最終イメージへの流れ
以前からLAW現像を含むポストプロセスが大切だと書いてきましたが、実際にどんなプロセスを踏むのかということに関しては、今まで触れてませんでした。コメントを頂いたTADさんからのリクエストもあり、今回、簡単ではありますが、その流れをザッと書いてみようかと思います。
最初のイメージはLAWファイルを開いた状態のままで、全くイジってません。画面の下半分がシャドウでかなり落ちてるのが分かると思います。実際、ここまでシャドウ部分が落ちているので、実はこのショットは以前ボツにしました。ただ、今回、LAW現像を説明する際に、良い見本になるかも知れないとあえてこのショットを選んでみました。
2枚目のイメージはPhotoshopのCarera Lawで、最初に開いた上のイメージを補正したものです。まずは問題の下半分のシャドウ部分の明度を上げて、どこまで写っているのか確認。シャドウで潰れたように見えた部分も、実はしっかりと写ってるのが分かると思います。JPEGファイルの場合、ここまでは綺麗に起こせないはず。多分、画素の白飛びなどが目立つでしょうね。
次にシャドウ部とは逆に明るく飛びすぎた空の部分を少し落とすことで、上下のコントラストのバランスを取ります。空のトーンが増して、山並みのシルエットがはっきりとしてきました。中央のイエローのハイライトとベンチのグリーンも少し濃度を上げます。これは画面の中央だけ選択して色を加えてるわけではありません。全体の色調整のスライダーを使用しており、そのせいで空の色みも若干エローが入ってきてるのが分かります。ただこの写真に関しては全体がイエロー系に転んだ方がより雰囲気が出るようです。
この段階でベースになる現像を終えて、Carera LawからPhotoshopへ。この状態でも写真としてはかなり良くなってきていますが、どうも今ひとつインパクトに欠けます。そこでイメージをPhotoshopで開き、プラグインであるColor Efex Pro 4を使います。まず、イメージがどのように変わる可能性があるのか、レシピ•サンプルのレヴューをザッと眺めて見ます。その中でグリーン系に処理されたイメージが目についたので開いてみます。面白い色味ですけど、ちょっとグリーンがキツいので、微調整することに。このイメージは4つのフィルターが使われていますが、画面右手にそれぞれのフィルター別に調整スライダーがあります。グリーンの色味を抑えながら、なるべく自然に見えるように整えます。これを今回の最終版とすることにします。
最終イメージは1枚目の元画像に比べてどうでしょうか。決して状態の良い元素材ではありませんでしたが、それなりにうまく着地してくれたと思うのですけど。朝日の斜光が中央のイエローの帯のアクセントとなり、明度を上げたベンチのグリーンも効いてます。明るく起こした下半分もグリーンの色味が加わり、全体のトーンにマッチしていると思います。
以上、簡単ではありましたが、何となくポストプロセスの全体の流れ、またそのポテンシャルを理解いただけたかと思います。但し、ポストプロセスの方法論は一定の決まりがあるというわけではありません。今回、紹介したのはあくまで私のやり方のひとつなので、そのあたり、ご了承ください。
Today’s Music 36 |Arto Lindsay
アート•リンゼイは、元々DNAやラウンジ•リザースなどニューヨーク•パンク系の人で、フリーになってからはディビット•バーンや坂本龍一などともアルバムを作っています。3歳から17歳までブラジルに住んだ関係でボサノバの影響を受けているようで、最近のアルバムではそれが特に顕著に出ているようですね。パンク、テクノ系のボサノバという特異なジャンルの人ですが、私の場合、ノーマルなボサノバではちょっと刺激が無いな..という時にはこの人の登場となります。