ひぐらしカメラ 2

カナダのビクトリアに居住。写真、音楽、釣り、映画。

The marvelous Mrs. Maisel

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95

 

 

写真の話とちょっと関係ないのですけど、最近、アマゾン•プライム•ビデオで観れる「The marvelous Mrs. Maisel」にかなりハマってしまってます。家人がプライム•メンバーで大分前から「このシリーズ、あまりに面白ろ過ぎる!」と騒いでいたので「あ、そうなの?どれどれ..」って感じでiPadにアプリぶち込んで見始めたら、止まらなくなってしまいました。最近、そのせいで寝不足であります。詳しい情報はググってもらうことにして、ポイントだけちょっと書きますね。

 

舞台は50年代のニューヨーク、理想的な夫、子供二人に恵まれ、順風満帆だったミッジ。ある日、夫が秘書との不倫に走り家を出てから家族は一気に崩壊の道へ。自分と家族を立て直すために彼女が選んだ道は、スタンドアップ•コメディアンになること。スタンドアップって、日本で言うとピンの漫才師ですね。さて、私がこの映画シリーズで感銘を受けた点は大きく3つ。ストーリーの超絶的な面白さと軽快なテンポ、ミッジ役のレイチェル•ブロスナハンの圧倒的な演技、それと衣装、小物、インテリアなどセットデザインです。

 

ストーリーはもちろんコメディなので、やり取りしてる会話自体がもう漫才なのですけど、実はこの家族と周辺の人々はユダヤ人なのでユダヤ人独特のユーモアや風習があちこちに散りばめられてます。ユダヤ人のユーモアって、迫害の歴史をネタに笑う飛ばすようなところがあって、笑いの裏に哀しみを感じるようなところがあるのですよね。脚本家がユダヤ人なのかは知りませんけど、それが作品の底を流れているのは確か。ただ会話スピードが滅茶苦茶に早いので、私の場合、聞き漏らしている微妙な表現もかなりあるはず。アマゾン•プライムもネットフリックスのようにオプションで英語サブタイトルを出してくれると嬉しいのですけど。

 

そしてミッジ役のレイチェル•ブロスナハン。この人、ほぼ無名の女優だったのですけど、このシリーズでゴールデングローブ賞を3年連続で取って一気にトップへ上り詰めました。彼女の演技の見所は、やはりスタンドアップ•コメディのシーン。その狂気じみた笑いの演技には度肝を抜かれます。機関銃のように喋りまくるネタはこの時代のタブーのオンパレードで、しかも普通の家庭の主婦だった女性がやってるわけです。丁度、この時期、実際に存在した伝説のコメディアン、レニー•ブルースが彼女と友人になる設定などもあり、レニー•ブルースや他のコメディアンのネタなどと較べても、ミッジがいかにぶっ飛んでいたか、理解できます。

 

そして映画のセットデザイン。彼女が住むアパートメントがセットで作られたのはもちろん、実在したガスライト•カフェやヴィレッジ•バンガードなどニューヨークの有名なライブハウスをセットで再現してます。野外ストリートの撮影では、50年代のクラシックカーが惜しげも無く並べられてますし、圧倒的な衣装、小道具など巨大企業アマゾンをバックに湯水のように予算を投入しているのが分かります。50年代のパステル調の色彩を観ているだけで、あの時代のニューヨーク空気を感じることが出来ますよ。映画のアートディレクターはかなり苦労したと思いますが、称賛されるべき仕事です。写真好き、映像好きの方は感銘を受けること間違いなし。

 

さて、簡単な説明でしたけど、どうですか。「The marvelous Mrs. Maisel」観たくなったでしょう?正月休みに是非お勧めします。正月休みがこれで消えてしまう可能性もありますけど。

 

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Olympus OM-D E-M10 II + Voigtlander Nokton 25mm 0.95